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1.誰でも簡単に社員になれないのはなぜか
マルチ商法の勧誘トークによく見かけられる表現として、「誰でも簡単に始められる」「努力に応じて儲かる」というのがあります。本論説では、その事をきちんと考えてみたいと思います。
世の中、何かの仕事を始めたいと思っても、なかなか簡単には始められませんね。
まあ、仕事を始めると言っても、どこかの社員になって始める場合と、自営業で始める場合がありまして、どちらにもそれなりの難しさはあるわけですが、どこかの社員になって始める場合を考えてみましょう。
まず社員にならないと始められませんが、なかなかこのご時世では簡単に社員にしてくれませんね。年齢により落とされる事もあれば、学歴で落とされることもあり、面接とかの試験で落とされることもありますね。
それに対して、マルチ商法は何らかの手続きをすれば簡単に「DT」とやらにしてくれますね(幾ばくかのお金を払うこともありますし、「始めるなら自分でも使わないとと商品を買うように勧められたりすることも有りますけどね)。
「やっぱり簡単に始められる」と飛びつく前に、少し考えて見ましょう、「なぜ、普通の販売の販売員は簡単になれないんでしょう」なんてね。実は「人数に限りがある」からじゃあないでしょうか? 会社の求人広告をみますと「若干名募集」とか「2〜3名募集」なんて人数を限っていますよね。
人数に限りがあるから「落とされる」訳ですね。じゃ、なんで「人数に限りがでる」んでしょうね? 実のところよく考えていくと、「給料を払う約束をする」からじゃないかと思うわけです。
販売員なんてのは沢山居るほど、それなりに売れる量は上がりそうですね、だから、普通の店でも「成りたい人はみんな採用しますよ」と採用したらよさそうなものですね(笑)。
でもね、そうならないのは「売り上げの予測に応じて、販売員の数を限る」必要がでるわけです。でないと「販売員が増えたことによる売り上げの伸びより、販売員に払う約束をした給料の方が多くなってしまう」んですね。
ちょっと計算してみましょうか。
或る商品を扱っている会社があるとしますね。 そこがどこかの地区に販売店を設置してセールスマンを雇うとしましょう。 まず、販売予測をたてますね。例えば初年度は1億円の売り上げがあるだろうと予測したとします。
会社のマージンがそのうち4千万円で、1千万円くらいが販売店の事務所経費とかだとしますと、3千万円が販売員に回せる給料という事になりますね。
これだと、かなり安月給の販売員でも10人も雇えません。社会保険料負担とかもありますから、せいぜい7〜8人ですね。こうやって「7名程度募集」なんて求人広告が出るわけですね(かなりいい加減な計算をしていますし、新規出店の場合は本社からの応援もできますが、この例では割愛しています:笑)。
でもって、この販売員さんたちが、1億円の売り上げを達成しようとすまいと、人件費の3千万円は出費される訳です。7人で1億円というと1人あたり約1400万円ですね。10万円の商品だと140個ですかね。実労200日として3日で2個は売ることになりますね。
会社としては、1億円以上売り上げて欲しいわけです。そうなると、「売り上げてくれそうな人を選ぶ」ことになります。私みたいな爺さんより若い人の方が売ってくれそうですし、難しい説明の必要な商品ならその説明を早く理解してくれる「頭の良い人」の方が良い、態度も礼儀正しい方が好まれる、なんてので「年齢で落とされ」「学歴で落とされ」「面接で落とされ」なんて事が起こるわけですね。
2.販売委託だと人数制限は無くなる
ではね、「給料を払う約束しない」で済んだら人数制限はしなくて済むかというとしなくてすみます。
これは「委託販売」なんていう方法です。「この商品を売ってくれたら売り上げの3割はあなたのものです」なんて販売してくれる人を募集するなら、100人ほどの人が来てくれても、1億円売れた時の「セールスマン人件費」にあたる部分は3千万円ですからね。会社としては多くても困らないことになります。
じゃあ、その100人にしてみるとどうでしょうね。人数が多くてよく売れたとしまして、3億円売れたとしましょうか、会社のマージンは4割だから1億2千万円がまず会社に入り、そのうちの9千万円が販売員に分配されます。均等に売ったとすると、1人当たりは90万円ですね。自営業の扱いですからその分配から国民年金とか国民健康保険はお支払い頂きますね。もちろん、均等と言うことは無いわけですから、年収が1千2百万円の人(売り上げ4千万円、個数で4百個、一日当たり2個)も出れば、報酬が無い人もでるでしょうね。まさに「努力に応じて儲かる」訳です(笑)
ただね、こういう連鎖の無い販売委託というのは、なかなか人が集まらなかったり長続きしなかったりするのが玉に傷なんですね。
少なくとも、「これでメシを食おう」という人は「どのくらい売ればどのくらい儲かるか」を気にしますからね。「食っていくためなら最低でも3百万円は欲しいな、となると売り上げ1千万円か〜。10万円だから年間百個は売らないといけない。う〜ん、なかなか大変だ」となるわけです。
たいていは、こういう販売委託方式は「小遣い程度が欲しい人」を中心としたものになります、喫茶店か何かをやっていて、その隅に商品なり広告なりをおいて、お客が興味を示した時だけ説明して売れればそれでよしなんてね。
「一年で10個売れたから30万円儲かった、良い小遣いだ」なんてね。つまり、人数こそ沢山集まりますが、たいていは、「本気で売ってくれない」人が多くなるんですね。これは会社としては「あまり、めでたいことではない」訳ですね。販売員が多いとそれなりに「管理費・通信費」はかかりますからね。闇雲に多いけど本気では売らない人が多いというのは困りものです。
3.連鎖報酬性を導入すると
実のところ、マルチ商法というのはこういう視点で「販売委託」を解析した後で見ると、この「熱心な人が集まってくれない」部分を解消したというか、「ごまかした」手段に見えてきます。単純な販売委託で、熱心な人が集まらなかったり、止めていくのは、「自分の欲しい報酬を得るために、どれほど自分が売り上げなくてはならないか」がとても透明だからです。
「自分が勧誘した人が売っても報酬となる」「自分が勧誘した人が勧誘した人が売っても報酬と成る」とか「自分から始まるツリーの売り上げがあるレベルを越すと報酬が多くなる(ランクアップ報酬)」などのシステムにより、「欲しい報酬金額と自分の努力」との関係がわかりにくくなっているわけです。
だいたい、ここまで書くと何を言いたいかおわかりだと思いますが、実は「誰でも簡単に始められる」も「努力しただけ儲かる」も連鎖販売の特長ではありません。
これは販売委託方式などの「給料を約束しない人に売って貰う」方式全ての特長です。そして、給料を約束されないから、普通の小売り差益主体の販売委託であれば「どれほどの収入を得るためにどれほど売るか」という事をよく考え、「どれほど売るのに自分の努力はどれほどか」と分かるわけですが、その部分に連鎖販売報酬が導入されると「考えることが難しくなる」という結果が起こるわけです。
ついで言うと、「ノルマなし」というのも同じ事です。給料をきちんと払う約束の元では、限られた数の販売員で、会社全体の必要経費を稼ぎ出さなくてはなりませんから、明確なノルマであるかどうかは別として、給料に見合う分は売って貰わないとならなくなります。給料として固定支出が無いからこそ、販売員全体が中央の事務所経費分を越える以上売るなら、「いくら売れ」を会社として言う必要も無いのです。その代わり「売らなければ報酬は無い」は強い動機付けを生み出します。
この「給料を払う約束」の有る無しは、実際のところ「販売員に不正な行為をさせない」という動機付けとも大きく関係しますが、それはまた別な機会に説明しましょう。
『”誰でもできる””努力に応じて儲かる”を裏から見ると』
理論派活動家として、また、現役掲示板投稿者でありながら、既に「伝説の元祖レス屋」として、この世界では有名な「ものつくり屋」さんから寄稿いただいたものです。
非常に平易な文章で書いていただき、誰にでも解り易いいものとなっています。
今回のレポートは、MLMやネットワークビジネス、マルチ商法の勧誘でよく使われている「誰でも簡単にできる」「努力に応じて儲かる」を報酬を支払う視点から解いています。
「ものつくり屋」 レポート2 04/05/21 寄稿
Conditinal support of MLM 「MLM条件付擁護」